組織経営専攻(ビジネススクール)
(1)組織経営専攻の特徴
組織経営専攻は、2006年に岡山大学のビジネススクールとして設置された専攻であり、経営学講座と会計学講座の教員が所属しています。また、2022年4月からは地域ビジネス学位プログラムを運営します(詳細は、募集要項 | 岡山大学大学院 社会文化科学研究科 (okayama-u.ac.jp)を参照してください)。
本専攻では、ビジネスパーソンが受講可能なように、講義は夜間(18:00以降の時間帯)に開講しています。本専攻の博士前期課程修了者は、通常、修士(経営学)の学位を取得します。経営学の修士号は、しばしばMBA(Master of Business Administration)と呼ばれ、ビジネスに関する高度な知見を有していることを証明する有効な手段の一つとなっています。また、博士後期課程に進学して、博士(経営学)の取得を目指すケースもあります。
経営学講座と会計学講座には、それぞれ学位プログラム(研究深化)と学位プログラム(高度人材育成)とが設置されています。各講座における学修内容の概略は下記の通りです。
(2)経営学講座
学位プログラム(研究深化)では、企業のマネジメント活動について、主に経営学(社会科学)の視点から諸現象の説明・課題解決を志向した研究を行うことができる人材の育成を目指しています。
学位プログラム(高度人材育成)では、主に実践的なマネジメントの視点から、とくに現実における課題解決を志向するリーダーの養成を目指しています。経営学を中心とした社会科学系の専門知識を一般・留学生・社会人の多様なバックグラウンドを持つ学生とともに学び、現実の課題に対する察知・理解・説明・解決力を伸ばしていきます。
授業の様子
(3)会計学講座
学位プログラム(研究深化)では、会計学におけるこれまでの知見を調査し、自らの視点で新たな研究を行うことができる人材の育成を目標としています。また、税理士試験の科目免除を希望する学生向けの修士論文指導は、このプログラム内で行います(詳細は、税理士試験の科目免除 | 岡山大学大学院 社会文化科学研究科 (okayama-u.ac.jp)を参照してください)。
学位プログラム(高度人材育成)では、公認会計士試験や税理士試験を受験する学生向けの教育や、企業等における財務管理や会計システムの設計・運用に関する責任ある職位を志向する学生向けの教育を行います。
研究指導の様子
(4)組織経営専攻で税理士を目指す方へ
組織経営専攻(会計学講座)には、税理士を目指して入学される方もいます。税理士試験の科目免除のために組織経営専攻への進学を考えている方に向けた普家教授(租税法概論1,2及び租税法に関する修士論文の研究指導を担当)のコメントは以下の通りです。
◆普家弘行教授のコメント
私は2022年7月に岡山大学社会文化科学研究科組織経営専攻の教授に就任した国税庁出向教員です。国税庁(国税局、税務署を含む)に勤務する中で、税理士業に関する知見を得てきましたが、その経験も踏まえ、いくつか述べさせていただきます。
税理士は会計・税務の専門家ですが、その役割は、それらにとどまるものではありません。私も職業柄、何事につけ「税理士に相談します」という経営者を数多く見てきました。税理士は会計・税務のみならず、企業経営全般のアドバイザーとして、活躍できる士業であるといえます。また、税理士業の魅力は、特定の企業だけではなく、様々な業種の企業の経営に関与できるという面もあります。特定の企業に所属しているだけでは見えてこなかったことが見える、そんな魅力もあるといえるでしょう。
ところで、税理士になるためには、会計2科目に加え税法3科目の合計5科目の試験に合格する必要がありますが、大学院進学もまた、税理士を目指す方にとっての選択肢になるものと考えます。修士号を取得することで、税理士試験の科目免除が受けられるという直接的なメリットがあることはもちろんですが、大学院では経営学、会計学、税法などを体系的に学ぶことができます。私もこれまで、「管理会計を学んでおけばよかった」、「経営学やファイナンスの知識が必要だ」といった税理士の先生方の声を耳にしてきました。大学院で得られる知識が直接的に役立つこともあると思いますし、大学院での研究や講義での議論を通じて様々なことを探求し思考していく経験は、経営相談を受けるうえでも、税務調査に立ち会うときにも、有用なものだと思われます。
一方、税理士業はAIの進展等により、衰退していく産業であると言われることがあります。単純な経理業務など、そういう側面があることは否めないかもしれませんが、人間しかできない判断を伴う仕事は決してそんなことはないと思います。今後の税理士業務は、より付加価値の高い判断を伴う分野に特化する必要があり、そのための訓練の場としても、大学院を活用していただきたく思います。