国立大学法人 岡山大学

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修了生・在学生の声&活動
Voices of Graduates and Students & Activity

大学院生 Students

大学院で公認会計士を目指す

井口 篤志さん
Mr. IGUCHI, Atsushi

組織経営専攻 会計学講座

博士前期課程2年(2023年2月執筆)

キャッシュ・コンバージョン・サイクルの業種別平均値と時系列推移の分析

自己紹介

こんにちは。社会文化科学研究科2回生の井口篤志です。私は,令和4年8月(大学院2回生)に公認会計士試験を合格し,来年度からは大阪の監査法人で勤務することが決まっています。そこで,私が公認会計士を目指し,合格するに至った経緯を,特に院生という立場から,少しだけご紹介させて頂けたらと思います。

公認会計士を目指した理由

私は高校での進路を決める過程で初めて公認会計士という職業を知りました。岡山で生まれ育ち,最終的には岡山で働きたいと考えていた私にとって,監査や税務といった幅広い立場から企業発展に寄与できる公認会計士は非常に魅力的に映りました。色々なことに挑戦したいと思っていたため,大学入学当初は,部活・サークルにバイト,講義等で目まぐるしく日々が過ぎ,なかなか試験勉強には踏み出せずにいました。そんな中,大学の2回生で簿記をテーマとしたゼミに参加する機会があり,公認会計士について改めて考えるきっかけとなったため,そこから本格的に勉強を始めることとなりました。

大学院に進学した理由

私が大学院に進学した理由は,自身のとれる選択肢の幅が広がると考えたからです。当初,コロナ禍で短答式試験が延期(8月)となった年に受験したため,短答式試験,ないし論文式試験が不合格だった場合を想定して,大学院へ進学するか,受験浪人という形をとるかでしばらく悩みました。しかし,大学院へ進学することで,具体的に,試験範囲の理解度向上や未知の分野への挑戦,自身の研究の深掘りができるといった魅力があると考えました。私自身,大学生活でも様々なことに挑戦できるよう意識していたことに加えて,岡山大学からの内部進学制度も充実していたことから,ゼミの先生のご助力もあって,大学院への進学を決意しました。

大学院での講義・研究

社会文化科学研究科・組織経営専攻は夜間からの講義が中心で,多くの社会人学生の方々と共に講義を受講していました。少人数という授業形態も相まって,先生や生徒同士の距離が近く,より濃密な講義が受けられていたと感じています。知らないことに新しく触れられることに加え,公認会計士試験の勉強も進んでいたことが,講義における理解度をさらに高めたと感じており,学部時代にはなかった感覚だと思っています。

また,研究については,試験勉強を始めた当初からキャッシュマネジメントに興味があり,そうした中でキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC),ひいては運転資金管理を勉強するようになり,学部時代のゼミから引き続いて研究していました。学部時代には,先行研究を網羅的にレビューすることでCCCの研究における課題を明らかにしました。大学院に進学してからは,実際の財務データを扱って,CCCの業種別平均値や時系列推移から近年の実態を考察していきました。レビューによってCCCの体系的な理解を深めることに加え,財務データから各企業における数値の推移における背景を考察するいい経験になったと感じています。

公認会計士試験の勉強

公認会計士試験の勉強をするに当たって,私は,様々な場面における「バランス」が重要だと考えていました。

まず,「各科目・分野」におけるバランスです。公認会計士試験は試験範囲が膨大であるため,各科目に万遍なく取り組む必要がありますが,計算科目と理論科目のように,人によって得意・不得意な科目・分野は分かれると思います。1つの科目・分野に時間をかけすぎてしまうと,すぐに別の科目が疎かになってしまいますが,特に苦手科目は無意識のうちに後回しになってしまいがちです。時に,1つの科目を集中的に勉強することが必要な場面もありますが,基本的にはどの科目も苦手ではないレベルに到達できるよう万遍なく取り組むことが求められます。

次に,「インプット」と「アウトプット」のバランスです。いずれを中心に勉強を進めていくかは人それぞれだと思いますが,教科書を中心としたインプットに偏り過ぎた場合,教科書を読んで分かったような状態に陥り,自身の理解の不十分な所が不透明となってしまいます。反対に,トレーニングやテストによるアウトプットに偏り過ぎた場合,出題分野以外の体系的な理解が不十分となってしまいます。私自身も,インプット中心でテスト範囲を完璧にしてからアウトプットに臨みたいと思うばかりに,途中で勉強が遅れてしまったということがありました。アウトプットで自身の理解度を確認しつつ,必ず教科書等のインプットに戻る,といった反復作業が大切だと思います。

さらに,勉強を進める上での「理解」と「暗記」のバランスです。膨大な試験範囲に対応するために単なる暗記ではなく理解が重要なのはもちろんのことなのですが,各科目の理解を進める上での暗記も必要になってくると思います。特に,繰り返し学習しても理解が追いつかない際には,基礎となる知識の暗記の不足が原因として挙げられます。私自身,暗記はあまり得意ではありませんでしたが,計算・理論の両者において,まず解答や解き方を覚えて,反復していく中で理解が追いついていったという経験が何度かありました。これについても,理解しながら暗記してさらに理解を深める,といった反復が重要だと思います。

人によって勉強方法は様々であるため,確固とした方法を示すのはなかなか難しいですが,上記に述べたような各場面での自分の傾向や癖は必ずあると思います。勉強をしていく中で,自身がどちらか一方に傾いていないか意識しつつ,丁度いいバランスを見つけていくことが質の高い勉強,ひいては試験の合格に繋がっていくと思います。

研究と試験勉強との両立

私は,単位履修や研究と公認会計士試験の勉強を同時に進めるということがあまり得意ではなかったため,特に中長期的な勉強計画(年単位)を重視して,講義・研究と受験勉強のうち中心となって取り組む方を各月によって明確に分けていました。受験勉強について,全くやらない時期はありませんでしたが,そのようにして力を入れる時期を分けることで,講義や研究についても随時進めていました。講義の履修時期は,前期後期で計画を立てることができますし,研究についても,ゼミの先生に協力して頂いて,非常に柔軟な形での取り組みが可能となり,公認会計士試験と両立させることができました。

今後の目標

最終的には岡山の中小企業に役立てる公認会計士になりたいと思っています。最初の数年は大阪で監査を通じて経験を積み,岡山に戻ってきた後は,監査以外の様々な業務にも取り組むことで,自身の強みを増やしていくつもりです。監査だけでなく,税務やアドバイザリー等多様な分野に携われるのが公認会計士の魅力の1つですので,積極的に挑戦する姿勢を今後も大切にしていけたらと思います。

高校生・大学生へのメッセージ

今現在,公認会計士試験に挑戦している,又は挑戦しようと思ってる方々にとっては「合格」が最優先事項にあると思います。人それぞれで様々な事情や背景があると思いますが,試験勉強のみに特化することが,合格への最短であると考える方も多いと思います,ただ,私は,大学院での2年間が,試験合格のための理解度向上はもちろんのこと,自身の将来の展望を考えていくきっかけにもなったと思っています。試験の合格が最も重要なのは大前提ですが,そこに向かう過程の1つとして,大学院へ進むことは,試験に合格した後の自身の選択肢も大きく広げてくれると考えています。このメッセージを通して,皆さんがどのような公認会計士としての将来像を目指されるのか考える,ほんの少しのきっかけになれれば幸いです。

撮影場所:津島キャンパス・Jテラスカフェ

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