国立大学法人 岡山大学

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センター紹介

平成30年10月1日 開設
大学院社会文化科学研究科附属
文明動態学研究センター

 

<設置の趣旨と組織の構成>

現在、ヒト(ホモ・サピエンス)は地球上に約76億個体生活しており、家畜と合わせると陸上脊椎動物のバイオマスの9割を占めています。紀元前1万年には世界で10万人足らずであったと推定されているヒトが、これほどの生物学的「繁栄」に達したのは、氷期の終了に伴う大規模な気候変動・環境変化に適応し、農耕や牧畜という自然の人工化、新しい道具や生活環境を作り出す技術的発達、新しい世界観や価値観、社会関係などの創出という、ヒト特有の現象(=文明)によるものです。

一方で、ヒトは繁栄と引き換えにさまざまな問題を引き起こし、人類社会の存続が危ぶまれる段階に達しています。環境破壊、戦争、差別、貧困など、現在直面している課題を克服するためには、その根本的原因を明らかにする必要があります。これらの課題はいずれもヒト、社会、技術、環境が相互に密接に関係した歴史的過程の中で発生してきたものであり、各要因単独の研究や短期的な相互関係の調査だけでは根本的要因の解明が困難です。

文明動態メカニズム解明のためには、人文社会科学における関連諸分野と理化学的研究を統合した学際的研究体制を構築することが必要であり、ヒトと環境の相互作用として展開する文明動態について長・中・短期的視座からマルチ・スケールで研究し、その成果を統合することで、分野限定的研究では見えてこない普遍的要因や文化的・歴史的プロセスの実態が明らかとなります。

本研究センターでは、新しい研究法の開発及び調査研究を進めるため,学内外の最先端の技術をもつ理系研究者との密接な共同研究を行うとともに,岡山地域を核とした研究成果を、国内外の多様な自然環境・歴史的過程による事例と多角的に比較研究するため、本研究センターが主体となって全国・海外の機関と連携し、学際的・先進的な研究を推進するネットワークを形成します。

本研究センターでの研究を基に,文明動態の普遍的メカニズム、地域的・歴史的要因の重要性、環境変動に対するレジリエンス(復元力)の実態について新しい知見を得ることにより、ヒト特有の性質が周囲の自然環境にどう働きかけ、どのようなメカニズムで文化・文明・社会を作ってきたのか、具体的に解明することができます。また、SDGsの達成に向け、研究成果に基づくESDの実践を行う展示室を併設し、研究成果のグローカルな発信力を強化するとともに、中四国地域の歴史史料・文化財の保存・活用のネットワーク拠点としての機能を果たします。地域社会とも連携し、地域社会の持続と発展のための新たな試みに挑戦します。

センターは次の2つのセクションで構成されます。

文明基礎科学研究セクション: 資料から社会や環境に関する新たな情報を得るための新しい研究法の開発を行います。理化学的な分析をはじめ、コンピューターを用いたシミュレーションやGIS(地理情報システム)分析によるモデル化も行うとともに、最新のデジタル技術を駆使した研究成果の効果的発信、文化遺産活用、教育プログラムの開発等を行います。また、最終氷期の終了による大規模な環境変化から近年の気候変動まで、環境変化の実態を理化学的分析法により詳細に復元し、考古学的・歴史学的データから復元される人間活動の変化とつき合わせることで、人と環境の間のダイナミックな関係を明らかにします。人類史の大半を占める狩猟採集社会における環境適応・環境改変の実態、人類にとって大きなターニング・ポイントである農耕の開始、周期的な気候変動に対する文明の対応など、普遍性の高いテーマについて研究します。

社会動態研究セクション: 社会的階層やジェンダー、集団間関係など、社会的なシステムや人間関係がどのような要因で変化するか、環境変化や人口変動などの要因を見据え、爆発的な人口増加と技術発達を特徴とする人類特有の社会形成の実態を明らかにします。特に、国家形成に至るメカニズムの解明は、社会動態の理解を深める上で重要であり、他地域との比較研究による国際的研究の進展に寄与します。

社会文化科学研究科は、この文明動態学研究センターを通じて比較研究や活発な議論を推進し、さらに研究の成果を国際的に発信することによって、日本列島史を世界的な人類史の中に位置付け、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という人類共通の課題について、従来の人文学の枠を超えた実証的研究成果を生み出していくことができると考えます。皆様の温かいご支援とご協力を心からお願いいたします。

<SDGsの達成に向けた取り組み>

(1)文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育(目標4.7)

(2)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住の実現(目標11)

(3)気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力の強化(目標 13.1)