国立大学法人 岡山大学

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活動報告

文理の研究者を結集して巨大古墳調査法を開発

2020/09/01

岡山大学大学院社会文化科学研究科・清家章教授を代表として、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)「ミュオンラジオグラフィを用いた巨大古墳調査法の開発にかかる研究」(研究課題:20H00027)が今年の4月から採択されていましたが、この研究をベースに研究計画を拡充した基盤研究(S)「王陵級巨大古墳の構造分析に関する文理融合型総合研究」が8月に新たに採択されました。2020年度から2024年度にかけて実施されます。

このプロジェクトの目的は、伝統的考古学研究と最新科学分析を融合して、内容が不明な王陵級巨大古墳の構造を解明し、日本古代国家成立期における巨大古墳の意義を明らかにしようとするものです。

王陵級巨大古墳は陵墓指定あるいは国史跡の指定を受け、調査に制限があります。とくに埋葬施設の発掘調査は近年実施されていません。そのため王陵級巨大古墳の内容は不明な点が多いのです。

本研究では3つの視点から研究を進めます。①ミュオンラジオグラフィによる埋葬施設調査、②三次元計測による墳丘規格研究、③型式学と化学的胎土分析を組み合わせた埴輪研究の3つです。

①で用いられるミュオンとは宇宙線から生み出される素粒子の一種であり、物質の密度の違いによって透過する量が異なります。ミュオンラジオグラフィはその性質を利用して、物体の内部分析を行うものです。近年、ミュオンラジオグラフィを用いた非破壊分析の研究が進み、火山調査、福島第一原子力発電所そしてエジプトにおけるピラミッドの調査において大きな成果を上げています。本プロジェクトは、王陵級巨大古墳に応用できるように開発を進め、実際にその内部を解明し、それを足がかりに日本国家形成過程研究を進めようというものです。

また、②ではドローンとLiDAR(レーザー測量)を用いて従来の測量では見えてこなかった古墳の詳細な形状や周辺の地形との関係を明らかにし、墳丘形状の変遷や他地域との関係を考察します。さらに、③では伝統的な埴輪研究と化学分析の組み合わせで新たな埴輪研究を提示します。埴輪に用いられる粘土を顕微鏡・X線および粒子線化学による胎土分析を行うことにより、産地同定や焼成時の燃焼温度を推定します。また、そうした分析から埴輪分類の基礎的単位を提示し、それを基点として埴輪の型式学的研究をすることを目指します。

これらの目的を達成するため、物理学・工学・地質学・考古学というこれまでにない組み合わせの文理融合型研究班が動員されます。本プロジェクトのメンバーは、当センター兼務教員(社会文化科学研究科・自然科学研究科・異分野基礎科学研究所)をはじめ、岡山大学埋蔵文化財調査研究センター・高エネルギー加速器研究機構・山梨大学工学部、そして岡山県・岡山市・総社市などからなる研究班から構成されます。異色な異分野連携を通じて、新たな研究組織を世に示し、文理融合と地域連携の今後のあり方を提示していきます。

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